2018年12月23日

『kuso』地獄の中で「クソッ!」と叫び続けろ。挫折との闘いに挑み、乗り越えた喜びを得るアクションゲーム

このゲームで闘う相手は、プレイヤー自身だ。
各ステージに設けられた数多くのトラップに挑戦し、失敗し、それでも再び挑み、抗い続け、乗り越えた先に「クリア」という報酬を得る。そのためには、何度失敗しても続けるような精神がないと続けることはできない。

もし「難しいゲームは嫌だ、優しく楽しめるのがいい」というのなら、今から紹介するゲームはお勧めしない。これはゲームの中で設けられた高い「壁」に対して抗い続け、乗り越えた喜びを得るゲームなのだから。

kuso
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映像は80年代のPC、中でも海外で広く普及していたIBM PS/2を思い出すような、簡素なドット絵で描かれるジャンプアクションゲーム。


本作は海外デベロッパー製作だが、タイトルは『kuso』。これは日本語の「クソ」が由来で、タイトルロゴもひらがなの「くそ」をデザイン化している。更に公式サイトのURLは「https://kuso.ge/」と、ずばり「クソゲー」である。

『kuso』は「クソ」ではない。「クソッ!」だ

これを見て「自分でクソゲーって言ってるのかよw」と笑う人がいれば、それは少し短絡的な考えだと言おう。このタイトルにはちゃんとした意味がある。

それは、制作者が80年代のゲームセンターで見た出来事が関係する。
当時、日本のアーケードゲーム『ディグダグ』をプレイした人が、ミスした時に「クソッ!」と叫んでいるのを見て、この言葉には、失敗やうまくいかない状態を表現する「frustration(要求不満・挫折)」の意味が含まれていると知った。その「挫折との闘い」を味わってもらう意味でネーミングしたという。

つまり、タイトルの意味と本作のコンセプトは、

プレイヤーに「クソッ!」と言わせること

である。

そのことはSteamコミュニティの掲示板や、ゲーマー向けボイスチャットのサイト「Discord」内の『kuso』チャンネル#faqs(回覧にはDiscordのアカウントが必要)に書かれている。
また、ここには「『クソ』には様々な意味がある」など書かれていることから、制作者は恐らく「クソゲー」の意味も理解していると思われる。

ただし「クソッ!」と言わせるからには、それに相当する難易度と、何度でも挑戦できるリピート性、そしてゲームとしての楽しさがないと成立しない。その狙い通りのゲームなのか、それとも、ただ難しいだけで不満しか得られないような文字通りの「クソゲー」なのか?

ここは地獄だ、抜ける方法は一つしか無い



映像は見た目こそ80年代風だが、巨大キャラが回転しながらなめらかに動くような、当時では不可能な動きを見せたり、音楽もチップチューンではないオリジナル曲が流れるなど、演出は時代と全く異なる。

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ゲーム内容は、トラップを避けながら出口に向かうのみ、プレイヤーの移動は左右とジャンプのみ、そしてトラップに触れるだけでミスとなるなど、いたってシンプル。
だが、ステージに仕掛けられたトラップは、延々とベルトコンベアのように流れていくもの、プレイヤーを狙い撃ちする砲台、出現と消滅を繰り返す床、1キャラクター分しかないギリギリの隙間に飛び込むなど、ジャンプするべき場所やタイミングはどれもシビアで容赦しない、まるで地獄のようだ。

また、本作は複数のモードが設けられていて、いくら死んでもゲームオーバーにならない「UNLIMITED」、残数10のみでどこまで進めるかを競う「HARD」などの他、「ARCADE」モードは残数125と殺す気満々だ。

だが、そんな地獄に対応する機能が、このゲームには設けられている。

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ステージ中いつでも、コントローラーの「チェックポイント」ボタンを押せば、ミスした時に戻される復活場所を自由に配置できる。ただし、設置はプレイヤーが静止できる場所のみで、空中やトラップ上などは不可となる。
危険な場所に踏み込む前にチェックポイントを設置すると、死んでも直前から再スタートできるので、同じ場面を何度でも繰り返し挑戦できる。しかも死んだ瞬間に次のプレイヤーがすぐ動き出す、待ち時間はほぼゼロだ。
あまりに短いおかげで、死んだことに気付かずレバーを入れっぱなしにして次々と死に続けることもあるくらいだ。

地獄のようなトラップの数々に対して、チェックポイント機能というシンプルかつスピーディーなシステムのおかげで、アクションゲームにおいての不満は限りなく削減されている。そのため「クソッ!」の対象はゲームのトラップ、そしてミスしたプレイヤー自身のみとなる。

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そして何度も挑戦すれば、流れゆく障害物のわずかな隙間に入り込んで突き進む、小さい足場を正確にジャンプして踏み越えながら狙い撃ちしてくる砲台の弾を次々と避けるなど、あたかも高難易度ゲームをノーミスでパーフェクトにクリアしたかのような、達成感と爽快感を各場面ごとで味わうことができるだろう。この気持ち良さが『kuso』の醍醐味だ。

人間が機械に負けるわけがない、そうだろ?

とは言っても、さすがに100回以上も死に続けると「進めない!やめた!」となる人もいるだろう。それは、自分自身との闘いに負けた・・・、と早まる必要はない。

そんな時は、トラップの動きをじっくりと見て欲しい。

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障害物や砲台などはどれも「一定の速度で規則正しく動く・変化する・狙い撃つ」のみで、変則的な動きでプレイヤーを騙す攻撃はない。
だから、どこかに通り抜けるタイミング「トラップの隙間」が必ずある、それを見極めるまで何度も挑戦するしかないのだ。中には音楽のように決まったリズムで動くものもあるので、BGMを聞きながらタイミングを取るのも一つの方法だ。

ステージのあらゆるトラップに挑戦しろ、失敗したら「クソッ!」と叫べ、そしてまた挑戦しろ、何度も繰り返して「隙間」を見つけろ、その隙間を通り抜けて「クソ」を「成功」に結びつけろ。
そうやって、一定の速度で動き続ける機械的なトラップに人間が抗い続けた先に、クリアという勝利とパーフェクトで切り抜けたというと喜びを得る。

これが、ゲームに込められた「クソ」の真意だ。

愛なんて、常にうまくいかないものだ

本作は、同デベロッパーが2014年に発売した『LOVE』の続編に当たる。
『LOVE』については、当ブログでも紹介済なので、詳しくはそれをご覧いただきたい。

LOVE・「レトロ風ゲーム」の形: Blog - 19XX

ゲームの基本ルールは2作共に全く同じで、『LOVE』は全16ステージに対して『kuso』は16ステージ再収録+新作25ステージを盛り込んだ上位バージョンとなる。また、ゲーム内のBGMも『LOVE』『kuso』共に音楽として聞き応えがあるので、両者ともプレイもお勧めしたい。

また、タイトル『LOVE』の由来についても、Steamコミュニティの掲示板に書かれているが、どうも「『愛』に結びつけたかった」という制作者の意志が強いようだ。

でも、「愛」に対してうまくいかずに「クソッ!」となることは、人生において数多くある。制作者はシリーズを通してそんなことを語ろうとしているのだろうか、それとも、制作者自身がその思いをしているのだろうか。
ゲームをプレイして地獄を感じ取り、タイトルでポエムのようなものを感じ取る。不思議な感覚のゲームではある。



タグ:review Steam KUSO

posted by 司隆 at 17:36 | Comment(0) | Game
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