
アクションゲームの中で、俗に「メトロイドヴァニア」と呼ばれるジャンルがある。
これは、1986年に発売されたゲーム『メトロイド』と、1997年に発売された『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(海外名『Castlevania: Symphony of the Night』)から名付けられた俗語で、これらのシステムを持ったゲームを指す。
基本的には、広大なマップの中で敵を倒したりアイテムを入手することでパワーアップして、行動範囲を広げながらクリアを目指すというスタイル。マップの至るところに仕掛けられた通路やアイテムなどを見つける「探索」と、それを装備するたびにプレイヤーの性能が強化されていく「成長」、マップを広げることでゲームの規模や全貌が見えてくる「進行」を実感できることが魅力だ。
Steamでも、「メトロイドヴァニア」タグで検索すれば、数多くのタイトルを見つけることができるので、これらを含めて、私がSteam上で面白いと思うメトロイドヴァニアのタイトルを紹介していきたいと思う。
ここでは、私の思いつくままに記事を増やしていくつもりで、最終的には20本越えの予定だが、実現するかは私の体力次第。
紹介ゲーム
- 80年代ゲーム機・パソコン風
- 異色の存在
ポリゴン映像
このジャンルだけでも数多くのタイトルがあるので、ある程度項目ごとに分けていこうと思う。まずは、ポリゴンを使った映像が特徴のゲームとして集めてみた。

古代ギリシア神話に基づいたストーリーと、古代の壁画を思わせる映像が特徴で、敵を倒し、様々な武器や防具を入手して装備を強化しながら進めていく。
ゲーム中は敵と戦うだけでなく、町中で住民や警備兵に剣を振りかざして殺すこともできる。殺してしまうと住民達は逃げ惑い、兵士達からは総攻撃を受けるなど、何でもできてしまう反面、そのリスクも背負う。
戦いは武器と己の肉体のみ、勝敗は生か死のみ、そして攻撃は「殺戮」であることを実感させる、ファンタジーのようでリアルな感触がある。

闇に閉ざされた森を元の姿に戻すために冒険の旅に出る、ファンタジーの世界が舞台のゲーム。プレイヤーは主に、敵に光線を当てるショットで攻撃するが。道中でパワーアップして様々な能力を身につけていく。
ゲームの特徴は、細かさと壮大さ。背景など細部にわたって描きこまれた美しい映像、ジャンプ1つにも細かいモーションを見せるキャラクター、各所で見せるムービーや演出など、様々な部分で規模の大きさと細部に至るこだわりを実感する。
また、ゲームの特徴として、エネルギーを貯めればゲーム中いつでもセーブ可能となっている(セーブ不可の場所も存在する)。その反面、エネルギー切れになると肝心な時にセーブできないので、いつどこで使うかはプレイヤーの使い方次第。

兵士と戦場というミリタリーの世界と、巨大メカが登場するSFの要素も含んだゲーム。私はXbox360版の発売当初にレビューを書いている。
基本はキャラクターを操作して、正面に現れた敵を銃で撃つなど2D視点のアクションが繰り広げられるが、場面によって「画面の背景から近づいてくるヘリに向かってバズーカ砲で撃つ」など、奥行きを攻撃対象とした3D視点もある。そんな、2D操作と3D空間の融合が面白い。
余談だが、ミリタリーの世界から持つメトロイドヴァニアということで、個人的に「メトロイドギア・ソリッド」と呼んでいる。

黒を基調としたシルエットのような映像の中、登場するキャラクターは赤か青いずれかの色を持っている。プレイヤーはその2色を切り替えながら戦うという「色」が重要なゲーム。
プレイヤーも敵も、同色だと当たってもダメージを受けず、異色だと受ける。敵やトラップには、時間と共に色が変化するものや、プレイヤーの色に合わせて足場が出現するなど、色の切替は「攻撃」と「防御」、トラップを抜けたり道を切り開く「手段」でもある。
プレイヤーが主に使用する武器は剣1本とシンプルだが、ジャンプや切り込みの間合いとタイミング、そして色の切り替えをマスターしないといけない。瞬間の判断力と操作テクニックが重視される。

ストライダー飛竜とは、1989年にアーケードで発売された、横スクロールが基本のアクションゲーム。本作は、初代のストーリーを別視点で描いたリメイクという位置づけになる。
私は、Xbox360版の発売当初にクリアして、過去にレビューも書いているが、スクリーンショットはそのXbox360版を使用している。
飛竜は広大なマップの中を走る、壁や天井に捕まって登る、三角飛びを使った連続ジャンプで駆け上がるなど縦横無尽に移動しながら、「サイファー」と呼ばれる剣で敵を次々と斬る。
また、アーケード版で登場した武器、敵キャラ、場面ごとのシチュエーション、そしてスピーディーかつ爽快なアクションは本作でも健在だ。その中で飛竜という「ヒーロー」の姿を味わうことができる。
ドット絵
ポリゴンとは別に、ドット絵で描かれたものとして分類した。中にはドットとポリゴンの両方を使ったゲームもあるが、キャラクターなど「主にドット絵で描かれる」ものを挙げている。(2017/08/16追加)

寂れた町「ダートマウス」の地下に広がる、巨大な古代王国の遺跡。そこにあると言われる財宝や太古の秘密を求め、多くのものが挑戦していく中、たった一人で入っていく者がいた。
全編にわたって見せる暗い闇の世界と、昆虫をモチーフにしたコミカルなキャラクターが特徴のゲーム。プレイヤーの攻撃は主に剣1本と魔法、そして装備すると様々な特殊能力を身につける「チャーム」を駆使していく。
発売当初は日本語未対応だったが、現在のバージョンで日本語ベータ版が実装されているので、言葉を理解しながら進めることができる。
本作は、アクションゲームとしてかなり高難易度と言える。広大なマップ、足場の少ない場所でジャンプを駆使する場面が多い、ボスは動きが速いなど原因は多数あるが、中でも特徴として挙げられるのが「剣の強調」だ。
プレイヤーが使う剣は、基本的に連続で振り回すことができなくて、攻撃した時にわずかな隙が生じる。そのため、常に敵の動きとタイミングを見極めて確実に当てることを意識しないと、一度の空振りで敵の攻撃を受けたり、特にボス戦では連続攻撃に繋がるので致命的だ。
アクションゲームで剣の攻撃は「間合い」と「タイミング」が重要だが、本作ではそれが強調されたものになっている。その分、操作テクニックと戦略が必要なので、手応えのあるアクションを求めている人なら楽しめるだろう。
(2017/08/16追加)

キャラクターは全て女の子、しかも主人公はバニーガール姿、主に使用する武器は「ピコピコハンマー」など、見た目からして軽いノリのアクションゲーム?しかも時折ビジュアルシーンもあるのでギャルゲー?という印象だが、プレイ感覚は全く違う。
プレイヤーは主に、ハンマーによる近接攻撃と魔法による遠方攻撃を使用するが、他にもダッシュ技や連続攻撃によるコンボ技、魔法による誘導弾や前方に強力なレーザーを撃つなど様々な能力を身につけ、敵を倒しながら行動範囲を広げていく。
ゲーム中は、ジャンプとダッシュ技を駆使するアクション重視の場面もあれば、ボス戦では敵の弾幕攻撃を避けながらハンマーによる連続攻撃のコンボ技で対抗するなど、アクションに限らずSTGや格闘など別ジャンルとの融合も随所に設けられている。
そして、広大なマップの中に隠されたターゲットを見つけ出す「やり込み要素」もあるが、足場の少ない場所を飛び越えた先にあるなどアクションで到達できるものや、隠された通路を見つけ出す謎解きもなど、それぞれ取り方が異なるので、全て見つけ出すことも楽しさに繋がる。
攻撃とジャンプを使ったアクション、弾幕避けとショットをというSTGの醍醐味、メトロイドヴァニアとしてのやり込み、ビジュアルシーンで見せるキャラクターの魅力など、様々なジャンルの要素を盛り込んだ、ボリュームと遊び応えは十分なゲームと言えるだろう。
また、これは私の個人的な認識だが、このゲームはやり込み要素があるというより、最初から「やり込ませるために作られたゲームシステムとデザイン」と、スタートラインはそこにあるように思える。
80年代ゲーム機・パソコン風
メトロイドヴァニアという呼称の元になるゲーム『メトロイド』は、現在でも続編が制作されるシリーズだが、初代はファミコンディスク版として発売された。当時としては、限られた機能や容量の中で少しずつ広がる世界を見せることが魅力で、それがメトロイドヴァニアの原点でもある。現在でもSteamでは、あえてその限られた機能や規模を再現したゲームも存在する。「ドット絵」の分類に通じるが、その中でも80年代をモチーフにしたゲームを紹介していく。
(2017/07/30追加)

80年代に発売された8ビットパソコンであるMSXをモチーフにしたゲーム。映像やサウンドにとどまらず、画面はスクロールしない切替式、敵はどれも直線的に動くなど、機能的なものも再現している。
また、本作は同デベロッパーが制作したアクション『Ghost 1.0』を自らパロディ化したものだが、見た目やプレイスタイルは全く異なるので、前作に触れていなくても楽しむことができる。
マップをさまよいながら敵を倒したり、アイテムでパワーアップしながら進むなど、ゲーム内容はメトロイドヴァニアに似ているがスタイルは少し異なる。その概要は、
- プレイヤーはライフ制で、ダメージを受けるとライフが減少して、ゼロになるとゲームオーバー。
- ライフ回復場所はスタート地点の近くにあるため、ライフが少ないとスタート地点に戻る必要がある。
- どこにいても1操作でスタート地点に戻るアイテムがある。
- 敵がいない場所なら1ボタンでいつでもセーブできる。逆に言えば、画面上にいる敵を全滅しないとセーブできない。
- マップは「1ヶ所のゴールに向かって奥深く進んでいく」構成で、進むべき場所はだんだんスタート地点から遠くなり、近道やショートカットはほとんどない。
であるため、攻略は、
「基本はスタート地点から始めて、ミスを少なくライフも減らさないように、敵を確実に倒してセーブも駆使しながら進んでいく」
メトロイドヴァニアは、様々な場所を探索する「探索型アクション」とも呼ばれるが、本作は探索というより、少しずつ奥深い目的地に「挑戦」する、探検を楽しむ「探検型アクション」という呼び方が合っていると思う。
また、私はこのゲームのレビューをSteamレビューにも書いているので、今回はこれを引用した。
メトロイドモチーフ
任天堂が制作・発売したゲーム『メトロイド』で、舞台となるのは未知の惑星、登場する敵は不気味な姿をした生命体など、ダークなSFの世界が描かれているが、メトロイドヴァニアタイプのゲームには、メトロイドの世界をそのまま引き継いだようなものも存在する。ここではそんな『メトロイド』モチーフにしたゲームを紹介していく。
(2017/10/01追加)

主人公は一人の科学者、研究所で実験中に突如爆発事故が起きて、気がつけば謎の世界に飛ばされていた。そしてどこからか聞こえる声に従うまま、武器を手にして脱出を試みる。と、意味も分からないままに展開するストーリーで、メトロイドのようにスーツを着込んだ完全装備ではなく、生身の人間が戦う。
プレイヤーはショットを前方・下方・斜めなど8方向に発射可能で、武器だけでなく地面を掘るドリル、隠された通路を出現させる銃などを入手して、道を切り開きながら進めていくという、メトロイドと同様の展開。
映像はファミコンを思わせるドット絵に、敵を倒した瞬間に空間が歪むなどの演出が入ったり、音楽はファミコン風の主旋律に別の音源が入るなど、過去と現代の融合といった感じで楽しませてくれる。
このゲーム独自の特徴を一言で説明すると「攻撃を楽しませるメトロイド」。
敵を攻撃するショットは、マップ中に3WAY・広範囲に広がるレーザー・遠方で爆発するスプレッドなど、全部で十数種類の武器が隠されている。クリアには必ずしも全て見つける必要はないが、敵によっては倒しやすくなる武器もあるので、入手するほど展開が有利になる。
つまりこのゲームでの探索は「発見」の楽しさだけでなく、「強化」と「攻撃」そのものの楽しさも広げてくれる。
また、ゲームの操作について、ショットは全方向に撃てるだけでなく、プレイヤーを固定させて撃つ方向だけ変えながら攻撃できるなど、コナミのアクションゲーム『魂斗羅』に似たスタイルも持っている。
そのため、余談ではあるが、私は個人的にこのゲームを「メトロイドヴァニア」ならぬ「メトロイドントラ」と呼んでいる。
(2017/10/01追加)

未知の惑星の探索のため、ロボットを送り込んで探索する・・・と、プレイヤーはロボットなど細かい設定を省けば、紛れもなくメトロイド。
プレイすると、キャラクターの形がかろうじて分かる程度の荒いドット絵に驚かされる。確認したところ、画面の解像度は160×128(QQVGA)相当、キャラクターは8×8ドットという、ファミコンや80年代PCより少ないドットで描かれているが、プレイ中に見えにくいなどの支障はない。
その映像も特徴的だが、ゲーム内容は「ストイックでガチなメトロイド」だ。
初期のプレイヤーは、歩く速度は遅くてジャンプしても高く飛ばない、ライフも少ないので敵の攻撃を受けるとすぐゲームオーバー。道中で入手する「フック」を使って空中ブランコのように進んだり、勢いを付けて遠方に着地する技を使えるが、タイミングがかなりシビアで、目的の場所に一筋縄では行けない。
それを乗り越えてクリアに導くのは、プレイヤーの操作テクニックのみ。道中に数多く隠されているアイテムや武器の入手、道中で敵との戦闘やボス戦など、自分の腕を活かせる場面が随所にある、そして鍛えるほど深い世界を味わうことができる。
プレイヤーの限界に挑ませる、制作側によるガチな勝負。というのがゲームに対するイメージで、映像が荒いのも、ゲーム内容を強調するために最小限に表現のみにした結果のように思える。
(2017/10/01追加)

主人公は宇宙の放浪者、ある時、宇宙船が突然隕石と衝突して未知の惑星にたどり着く。・・・というストーリーだが、要はメトロイド。
ゲームの舞台となるのは4つの惑星で、プレイヤーはどこを探索するかを自由に選ぶことができる。だが特定の惑星でアイテムを入手しないと、別の惑星にある水中に入れない、水中に入れるようになって探索すれば、別のアイテムを入手して他の惑星も進める・・・など、どこから探索するかを考えるのも楽しみの一つ。
また、ドット絵の映像やファミコンを思わせる音楽、そしてプレイヤーは2頭身の姿などコミカルなキャラクターを見せる。
だが、メトロイドとは決定的に違う特徴、それは「2.5次元メトロイド」であること。
スクリーンショットを見てもらえば分かると思うが、画面の背景にもマップがあって敵もいる。このゲームには手前と奥の2画面があり、プレイヤーは通路のある場所なら双方を自由に移動できるのだ。
これを利用して、手前では行き止まりだが、一度奥に行って進めば通過できたり、ボス戦では手前と奥を往復しながら攻撃する敵と戦うなど、2Dアクションの中で3Dのような空間という「2.5次元」を使ったアクションや謎解きがある、これが本作の魅力だ。
また、私はこのゲームでクリアに到達するまでのプレイ時間は3〜4時間程度と、メトロイドヴァニアとしては規模が小さい。それだけに、コンパクトにまとまった手軽で深い探索を楽しむことができるだろう。
異色の存在
ここでは、メトロイドヴァニアと呼ぶには少し違う、「異色の存在」と言えるべきゲームを紹介していこうと思う。(2017/07/23追加)

プレイヤーは奇妙な形をした、恐らく「ナメクジ」をモチーフにしたキャラを操作していく。広大なマップを進んでいくという部分はメトロイドヴァニアと同じだが、アクションや探索を楽しむものとは大きく異なる。
ゲームを始めると、目の前には廃墟のような世界が広がる。静寂で不気味で、音楽や効果音はほとんどない。
歩いていくと、植物の実があるので取ったり、小さな虫を捕まえて食べることができる、石や棒などは拾って投げることができる。でも、これらは何に使う?食べると何かある?といった疑問を持つだろう。
また、途中で奇妙な形をした生物に出くわすが、近づくと食べられてしまう。攻撃方法も分からないので、隠れたり逃げるしかない。説明はスタート時に簡潔に表示されるだけなので、何ができるのか、何をするべきかなどが見えない。
だが、どこかにあるセーブポイントまでたどり着けば、とりあえず「次のセーブポイントを探して移動」が目標であること、セーブはエサを食べてライフを増やさないとできない、食べるのはこのためであることも分かってくる。
更に続けていくと、エサに限らず食べると様々な効果がある実が落ちていること、石や棒は拾って敵に投げると攻撃ができること、道中に見える「所々に描かれたマークは何?よく分からない装置があるけど何が起こる?」といった謎も少しずつ解けて、ゲームの全貌が見えてくるだろう。
言わば、このゲームはシステムを探ることが「探索」で、把握することが「謎解き」となり、行動範囲を広げることに繋がる。メトロイドヴァニアとはかけ離れているようで根本は同じ、それを独自のアプローチで見せてくれることが魅力と言えるだろう。
数え切れない「攻撃」を楽しむ
ここで挙げた作品のうち、ゲーム中最も数多く行う行為である「攻撃」の面で見ると、『Ori』『Shadow Complex』は「撃つ」こと、『Outland』『STRIDER』は「斬る」こと、『Apotheon』は斧や矢など「両方」に分かれる。撃つゲームでは、攻撃が当たる位置や角度を把握する、斬るゲームでは、敵との間合いと切り込むタイミングを覚えることが重要となるが、『Apotheon』の武器は攻撃方法も範囲も様々で、しかもすぐ破損して別の武器を持ちかうられるため、どの条件でも対応できる感覚も必要になる。
この面だけで見ても、ゲームによってそれぞれ特徴を持たせて「飽きさせない攻撃」を見せてくれる、そんな攻撃方法でゲームを選ぶのもいいかもしれない。
タグ:Steam