2016年07月16日

『CRIMSON ROOM DECADE』正統派ADVの「正統派すぎた」続編

この記事も含めて、インディーゲームに関する記事のまとめはこちらLink


ゲームの舞台となるのは「密室」、目的は「閉じ込められたその部屋から脱出すること」。
その方法は、
「・・・分からない、探すしかない」

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CRIMSON ROOM DECADE(Steam販売ページ)

クリムゾン・ルーム公式サイト

2004年にインターネットで公開されて人気を博し、その後ゲーム機などにも移植されるなど、「脱出アドベンチャー」というジャンルを定着するきっかけとも言えるゲーム「クリムゾンルーム」。
その続編がSteamで配信された。

ゲームの操作は主にマウスで、画面上のオブジェクトにカーソルを合わせてクリックしていくと、引き出しを開けたり何かを取るなど行動する。それらを使って謎を解き明かし、部屋から脱出するのがゲームの目的。
制限時間はなく、アクションやリアルタイムの要素も皆無なので、じっくりと時間をかけて楽しむことができる。

脱出アドベンチャーの魅力

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ゲームを始めると「赤い部屋」に閉じ込められている。
探ることで、閉じ込められた理由など「謎」の一片が見えてくる。

このゲームのように、謎解きを主体としたものをアドベンチャーゲーム(以下ADV)、中でもクリムゾンゲームは脱出を目的とする「脱出ADV」と、一つのジャンルとして名付けられている。
これには、ゲームの進行と謎解の方法として、大きく分けて2つの要素が重要となる。

その一つは「探索」。

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探るためのヒントとして、マウスカーソルの形状が変化するポイントや、触れることで出てくるメッセージなどがある。あらゆる場所を注意深く見ていくのが重要だ。

部屋の中にある様々なもの、棚の引き出や家具の隙間などを探ると、ナイフや懐中電灯など道具が見つかる。それをどこか別の場所で使うと、また何かを見つける事ができる、それを調べて・・・、と、探っていく事によってゲームを進める事ができる。
だが中には、見つけた道具をどこでどうやって使うのか?と一見分からないものも出てくる。それは自分で考え発見しないといけない。

そこで重要なもう一つの要素が「ひらめき」だ。

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部屋を探していくとライトが見つかるが、電池がなくて使えない。更に探すと、他の電化製品から電池が見つかる、これを取り外してライトに使えば・・・。
などと、見えるものからすぐに連想されるような簡単なものもあれば、意外な使い道で突破できるものがある。

徹底的に調べて何かを試してみる、でもうまくいかない。また探る、考える・・・、を繰り返して挑戦していくと、あることでパッと思いついたものが成功する。また偶然見つけることもあるが、それこそ徹底して調べた結果。
そんな「探索」と「ひらめき」が成功したときの喜び、これが脱出ADVの魅力といえる。

クリムゾンルームとしての魅力

本作品は、その限られた空間の中で「探索」と「ひらめき」によって進めていく。また部屋に置かれた家具や道具、謎解きの方法で、前作「クリムゾンルーム」を思い出すシチュエーションが多い。

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画像はSteam コミュニティより引用。2004年に公開された初代と全く同じシチュエーションであることが分かる。
このように前作と同じものや、少しひねっているなど違う部分もあるので、それを探すのも楽しみの一つだ。

典型的なADVの形式を持った正統派、そして続編としてあまりに「真っ当」なゲームと言えるが、その中で大きな変化を遂げている部分がある。

前作は全て1枚絵の中をクリック操作のみという形式だったが、今回は3Dの一人称視点。マウスクリックに加え、キーボードのWSADで移動+SHIFTでしゃがむ動作が加わり、オブジェクトの見る角度を変えたりしゃがんで地面に近づけば見つかるなど、「移動」の要素も謎解きに含まれる。

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この装置は・・・何だ?

また、できるだけネタバレを控えて書くが、このゲームは1部屋の中でいくつかも場面が用意されていて、その節目〜次の場面への進行には大がかりな仕掛けが用意されているという、限られたものを利用した「変化」と「追加」が、続編としての魅力となっている。

「真っ当」であるが故に

だが逆に、ジャンルや続編として「真っ当」であることの欠点も抱えている。

私がプレイしたとき、ゲームを始めてからクリアまで3時間ほどかかったが、その大半は「部屋を探る」ことと「謎を解くために考える」ための時間で、クリア以外の楽しみ方として、実績解除の要素があるためにもう1〜2時間といった程度。
だから、人によっては時間が全く変わるだろうし、一度クリアして全ての謎が分かっていると、再び最初からやり直せば10分ほどでクリアできてしまう。
また、大がかりな仕掛けが追加され場面が増えたといっても、それは「小さな部屋の中」に過ぎず、その行動範囲やゲームとして表現できることは限られる。

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クリアに直接関係ない要素の1つ。ゲーム中、いたる所に落ちている「日記」のページを集めることで、バックストーリーも見えてくる。

つまり、「小さな空間」で「謎を解き明かすこと」が全てで、クリアした後に繰り返し楽しむことや、やり込みなど楽しみ方が広がる要素は極めて乏しい。
脱出ADVというジャンルや前作の要素をそのまま引き継きながら、新たな要素を加えるのはある意味、新作として理想的な形でもあり、正統派すぎた作品と受け取ることもできるだろう。

だがどちらにせよ、脱出ADVとして楽しめるゲームであることは間違いない。開始からクリアまで「考えるための数時間」をゲームに預けるつもりで、楽しんでみてはいかがだろうか。


posted by 司隆 at 22:30 | Comment(0) | Game
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