2015年03月08日

大阪日本橋・ATARI「E.T.」体験イベント

 先日、大阪日本橋で、こんなイベントが開催された。

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アラモゴード発掘記念イベント「THE REVENGE OF ATARI E.T.」
(当初の参加者募集ページ)

会場:ゲーム探偵団Bar

 伝説のゲームソフト、E.T.。あまりに有名ながら、実際にプレイした人はほとんどいないそのゲームに実際に触れるというイベント。
 私も同じく、E.T.と共にアタリのゲーム機も実際に触れた事はなく、かなり興味があったので参加。

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 会場に入ると、E.T.のぬいぐるみがお出迎えと共に、

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 机に並べられた、数台のアタリVCS。この光景だけでも壮絶。開催前からワクワクした。

E.T.とは?〜VCSとアタリショック

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 最初にまず、「これは何のイベント?」と共に、このゲーム「E.T.」、対応ゲーム機であるAtari VCS、そして「アタリショック」という現象について詳しく説明しないといけない。

 1970年代〜80年代にかけて、アメリカのアタリ社より、カートリッジの差し替えで様々なゲームが楽しめるゲーム機「Atari 2600」、通称「Atari VCS(Video Computer System)」が発売され、大ヒットした。
 アタリはこのゲームソフトを、基本的にどの会社でも自由に制作して販売しても良い形にしていたため、粗悪なゲーム、むしろゲームになっていないようなものも大量に制作・発売された。日本で言う「クソゲー」の乱立。
 そのため、ユーザーが急速に離れ、市場が崩壊。それを俗に「アタリショック」と呼ばれる。

 それに関係する重要な出来事がある。ハードメーカーであるアタリ社から当時、劇場公開されて大ヒットした映画「E.T.」のゲームが発売されたが、多くの難があり、映画の人気によって発売前の期待が大きかった分、ユーザーの失望は大きく、VCSから離れていった一つの要因と言われる。

 私もこの辺の情報を書籍などで読んで知っていたが、アタリショックという現象がゲーム業界にとってあまりに大きい事もあり、ネットではそれが広く知れ渡り、「E.T.はアタリショックを招いたゲーム」更には「E.T.はゲーム史上最悪のクソゲー」という認識も多く、それらをタイトルとした記事も多く見られる。

伝説は本当だった!?
 そんなE.T.は当時大量に売れ残ったため、アタリ社は破棄のため、どこかに埋めたという都市伝説もささやかれていたが、それが事実だった事は昨年話題となった。

都市伝説が本当に、「ビデオゲームの墓場」で史上最低ゲーム「E.T.」が発見される(GIGAZINE)

 アメリカのニューメキシコ州アラモゴード市で発掘された、アタリVCSのゲームソフト。正確には「E.T.を含めた大量の在庫ゲームが破棄されていた」だが、先に書いた都市伝説もあったため、「E.T.が発掘された」という話題になっていた。

日本渡来〜イベント開催へ
 今回のイベントのきっかけは、更にエピソードが付く。それは、発掘されたE.T.がオークションにかけられ、落札した中に日本人がいた。

“E.T.を買った男”、模範的工作員同志(@KgPravda)氏ロングインタビュー:伝説のゲーム『アタリE.T.』を目撃せよ!(後編)(gotamag)

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 そして、何とこれがその現物。
 そのE.T.を購入した、模範的工作員同志氏の協力により、今回のイベント主催でもある、ゲーム探偵団の店舗に一時期展示されていたもので、私もその時に撮影させてもらった。

 今回のイベントは、そのE.T.発掘とオークションによる入手をきっかけに行われたが、あくまでE.T.というクソゲーをネタにしたものではなく、実際ゲームに触れて、E.T.とは何かを知って楽しもうというイベント。

 更に、主催者側がこのイベントで最も言いたかったであろう事、それは、後で書いていこうと思う。

E.T.に熱くなる

 イベントはUSTREAMでネット中継されていたので、アーカイブスで確認できる。

USTREAM:THE REVENGE OF ATARI E.T.

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 会場で参加者に配布された、loderun氏による資料。これを元にアタリVCSとアタリショック、そしてE.T.の説明がされる。

 当時はまだ、世界的にもゲーム機というものが出始めたばかりのため、VCSは機能的にあまりに乏しかった。その特徴の一つとして、「文字が表示できない」。スコアですら数字ではなく「数字の形をした絵を描く」事で表示していたという。
 当時のゲームは、そんな大きな制約の中で作られていたという事。

 そのVCSで出た「E.T.」は、映画のストーリーを元にした、E.T.をコントローラで操作して進めていく、アクションというよりアドベンチャーゲームとなっている。
 謎解きのようなものも盛り込まれているため、ある程度の手順を踏まないとクリアにたどり着けない事、それをVCSというハード制約の中で、更に開発期間は約5週間半という短期間との事。
 この状況で制作されたものがどんなものだったか、この話だけでも容易に想像が付いてしまう。

E.T.というゲームについて
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 先に書いた資料の中に、E.T.の手引き書添えられていた。ゲームのルールを一言で書いてしまうと、

マップの至る所にある落とし穴のどれかに電話機のパーツが落ちているので、3つ集めてUFOを呼んで宇宙に戻る

 要はそれだけ。
 どの落とし穴かは、特定の場所でボタンを押すと知らてくれるが、それも探さないといけない、UFOを呼び出す場所も把握していないといけない、歩くごとに体力が減って切れると死ぬ、マップ構成も理解しないと全く分からず迷う。
 更に難しいゲームモードでは、FBIや研究員から逃げないといけない。回避する方法もあるが場所が決まっている。他にもアイテム等あるが、それらの場所は全てランダム。

 そのルールについて、会場では映像も交えて説明を受ける。初めて見るゲームをクリアまでの完全ネタバレで公開されるが、その独特なゲームシステムを聞くだけでも会場は盛り上がる。
 更にゲストとして、イベントのきっかけとなった、E.T.をオークションで落札した模範的工作員同志氏のSkype出演、また海外の方も来場し、当時家庭にVCSがあって遊んでいたとの事で、その思い出と思い入れなど、司会と共に熱い話が繰り広げられていた。

 また、ネットでは世界的にも「アジアで凄いイベントがあるらしい」と少し話題にもなっていたそうな。まさに世界初と言えるのかも知れない。

未知との遭遇
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 その後、会場に置かれた実機で参加者もE.T.に触れる。ずらりと並んだゲーム機で動いているのが全てE.T.という、歴史に残るような光景。

 私もプレイさせてもらったが、感想としては、ハードの制約の中で少し複雑なルールを持たせたアドベンチャーの要素は、正直、面白いと思った。
 しかし、最初にそのルールが分かっていないと全く意味不明になる(発売当初は説明書に書かれていたとの事)、落とし穴から出てきても位置が悪かったら再び落ちる、FBIなどのキャラは問答無用で一直線に突っ込んでくるなど、もう、ゲームとしての調整がかなり酷い。

 その酷いものをどう切り抜けるかがカギ。例えばFBIが画面上でなぜか引っかかって動けなる時があり、他のキャラも出てこなくて自由に探索できるが、それもほぼ運など、E.T.が伝説のゲームと言われる部分に触れたようだった。

 ちなみに私、その「酷い部分を自分の腕で切り抜ける」というのは、当時からそういうゲームをやっているので大好きです、はい。

VCSに熱くなる

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 その後、E.T.に限らず、会場に置かれた多くのVCSゲームを自由に遊ぶが、ここから更に盛り上がる。

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 中でもこのスターウォーズ。このゲーム機で確かに3D映像が動いている。ここまでやれた、当時の技術と技量に感動した。

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 何と、お手製のポータブルVCS。そもそもドットが大きいので、この小さい液晶画面でちゃんとゲーム画面が見えて操作できる。

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 大画面で対戦が行われた、ボクシングとフリーウェイ。後者は「対戦フロッガー」というイメージ。
 特にボクシングの操作は1レバー1ボタンだが、ちゃんと両腕でパンチが打てて、1・2パンチと連続技も可能。2人でこれをやったら、お互いの駆け引きがもの凄く熱い。

 これらのゲームを遊んで思ったのは、アタリVCSってファミコンより、スペースインベーダーより以前に出たゲーム機で、本体の性能があまりに限られていた分、ルールはあまりに単純だけど、その中で様々なギミックや遊び方が生まれるゲームというのが魅力の一つだったように思う。
 個人的に、また何かの形で触れてみたい気持ちになった。

触れないと味わえないもの

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 この日は思う存分、E.T.とアタリVCSを楽しませてもらったわけだが、個人的にE.T.に対して思ったのは、ルールを複雑にして深いゲームを作ろうとして調整不十分で出してしまったゲーム。E.T.の映画で言うなら、制約だらけのまま撮影までしたけど編集が不十分のまま劇場公開してしまったような、そんな感覚。
 当時のゲーム機や映画とのタイアップやその他諸々という、色々な意味で時代を描いた、クソゲーと一言では済ませたくないゲームだなと思った。そもそも、クソゲーという感覚では見えなかった。

 そして、このイベントでの中で、司会の方が言われた事、そして恐らく、主催側が最も言いたかったと思う事。それは、

「E.T.はクソゲーではない!」

 実際、ネットの情報で知ったものとは、感覚的に違うというか、「本当にクソゲーか?」と「伝説になっている意味」は、今回触れて初めて分かったように思う。
 そして、司会の方が言っていたもう一つの事、

「ゲームをやりもせずに、噂話だけで貶めるのはやめましょう!」

 これも本当にそう思う。
 そんな、色々なものが実感できた、今回イベントは大変楽しませてもらった。



タグ:ATARI vcs E.T.

posted by 司隆 at 16:01 | Comment(0) | Game
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