2014年06月18日

パズルトピアに見える「パズル」の魅力

 これも含めて、記事を一覧にまとたものはこちらLink


 先日、倉庫に眠っていたものを引っ張り出してきた。

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 これは、システムソフト(現在のシステムソフト・アルファー)より1990年に発売された、16ビットパソコン(発売当時)であるPC-9801用のゲーム、「芦ヶ原伸之のパズルトピア」。

 私が当時遊んでから20年以上になるが、現在のWindows環境でも、手持ちのフロッピーをデータとして吸い出しているので、エミュレータ上でプレイする事ができる。
 そして今回、このゲームについて改めて書いてみたくなったので、通しプレイや色々と調べていた。
 という事で、紹介とレビューの形として書いてみたいと思う。

遊園地で遊ぶパズル

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 舞台となるのは遊園地で、観覧車、コーヒーカップ、花畑など数々のアトラクションに、それをモチーフにしたパズルが設けられている。その中から好きなものを選んでパズルを楽しむというもの。
 操作は、全てマウスのみで可能。
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 開始時は真っ白だが、クリアするとアトラクションが色づけられて動き出す。そうやって、クリアしていくごとに遊園地が作られていくのを見るのもまた楽しい。

 パズルは全部で20種類。どこから始めてもよし、時間制限は全く無く、失敗してもやり直せたり、1手前など好きなだけ戻す事も可能。クリアまで続けても途中で抜けて別の所に行くのも自由。

 パズルが持っている、手軽に始めてハマってしまう楽しさと、遊園地の様々なものがある楽しさ、そして自由なスタイルを合わせたのが、このパズルトピアの世界。

コンピューターでパズルをする意味

 収録されているパズルは、古典的なもの、実在するものをアレンジ、ゲームのためのオリジナル、中にはパズルよりアクションに近いものもあるが、ほとんどはカードやパネルなど、現実でも可能なもの。
 それをわざわざパソコン上で再現しているのは、その豊富なパズルを一度に味わえる手軽さと共に、ここでしか味わえない、演出の楽しさがある。

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 各パズルの映像は、その場面に合わせたものがデザインされているが、遊園地の一角を思わせる風景の他に、森の中、宇宙空間など全く異世界のようなものあったり、それぞれのパズルでそれぞれの世界を見せてくれる。
 音楽もパズルごとに違う曲が流れるが、スローテンポやアップテンポで明るい曲など、これも様々なものが用意されている。

 だが、映像も音楽も共通しているのは「目立っていない」。映像は綺麗だが派手さがなく、音楽も緊張感やスリルなど盛り上がるものが全く無い。
 それは言い換えれば、映像や音楽にプレイを影響されず、落ち着いて延々と見て聞いていながらパズルを続けられるという事。

 そんな映像と音楽、それによって味わう世界は、コンピューター上でやるからこその楽しさを盛り込んでいる。

 また音楽は、20種類のパズルに20種類あるわけではなく、いくつかは同曲のアレンジが使われている。
 詳細は後の記事で書いているので、そちらを参照。

制作スタッフについて

 パズルの制作、監修を担当したのは、芦ヶ原伸之氏。
 実は私、芦ヶ原氏の事はこのゲームくらいしか知らず、調べた限りではあるが、

芦ヶ原伸之 - Wikipedia

 パズルの制作やコレクターとしては世界的に有名な方で、私もこのゲーム以外で、TV番組のゲームなど、意外と身近な形で氏のパズルに触れていたのだなと、調べて分かった。

 ゲームとしてパズルトピア以外で、レイトン教授シリーズに問題作成協力と書かれているが、芦ヶ原氏が亡くなったのは2004年、レイトン教授の第1作発売は2007年なので、芦ヶ原氏が過去に制作したパズルを使わせてもらっただけなのか?など詳細は分からない。

 プログラムの担当は、たいにゃん氏。80年代からシステムソフトのゲームなどを担当し、高い技術力を見せてくれる。

 私にとっては、PC-8801で発売された「SeeNa」。私が所有していた、SR以前のPC-8801mkIIという、処理速度の極めて遅いマシンで高速に動くポリゴンを見せられて衝撃を受けた。
 このパズルトピアでも、パネルの回転など多くの場所でポリゴンの技術が使われているが、PC-9801という、当時としては高速ながら、3D映像を動かすにはまだ困難なマシンで、たいにゃん氏の技術だからこそ実現できたと言える。

 そんな、世界的な作者とベテランのスタッフ達によって作られている。

マニュアルいらず

 ソフトに添付されているマニュアルは、全てのパズルの説明なども掲載されているため、約70ページというボリュームだが、パズル説明の文章だけなら、ゲーム上で全く同じものを見る事ができる。
 ゲームではこれを「オンラインマニュアル」と、今で言うオンラインと違う意味で表記されている。

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 そこにはルールや操作説明と共に、芦ヶ原氏による解説も書かれていて、「このパズルは19世紀にはすでにあった」「パネルの組み合わせは、理論的に200億通り以上になるが、解答は1つしかない」など、各パズルに関する歴史やエピソードも書かれている。

 私はこれによってパズルを「知る」という楽しさも味わっていたが、それと共に、パソコン上で読む事ができるマニュアルにかなり驚かされた。

 このソフトの1年前、同じくシステムソフトより「銀河」というカードパズルゲームが発売されていたが、これは基本的に、各ゲームのルールはマニュアルが無いと分からなかった。
 しかしパズルトピアではそれが解消されていて、変化を実感したので印象に残っている。

 今でこそ、ルールや操作などはゲーム中に説明されるおかげで、マニュアルを読む事はほとんどないが、このようなソフトはこの時期くらいから増えてきたと記憶している。
 色数や解像度など映像表現の途上や、文字も漢字が標準で出力できたり、多くのデータが処理できるなど、ハードの性能も上がって表現力も上がってきた事が大きいと思う。

パズルの魅力とパズルトピアの魅力

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 このゲームは、パズルとしての多彩さとそれをゲームとして組み込む構成、映像や音楽での演出面、ポリゴンを使った技術、オンラインマニュアルなど、一つ一つの部分として見ると、どれもが極めて高いレベルを見せてくれる。
 だが、プレイしているとそれを感じない。どれも主張していないというか、大きく目立たず、あくまでパズルを見せる演出にとどまっている。

 それって言わば、パズルそのものの形ではないか。

 パズルって、それ自体は目立つものでも重々しいものでもなく、軽い気持ちで始めて、好きなように好きなだけ楽しんで、でも夢中になれる。
 このゲームは、主張していないようで、実は一つ一つの要素が「パズルとは、こうであるべきもの」という主張をしているのかもしれない。

 パズルトピアはそんな、全てが高いレベルだからこそ見せる事ができた、本当のパズルの形だと改めて思う。

パズルトピアの思い出と今回のきっかけ

 ここでは、私の個人的なエピソードなど。
 まず今回、この文章を書いた理由。

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 パズルトピアを楽しんでいた当時、年齢も20歳くらいだったが、ある場所でこのゲームに関するレビューの文章を書いた事がある。
 その時は自分の思い入れだけで「パズルトピアはゲーム史上最高傑作」などと、中二病丸出しの文章を書いた記憶。

 それを今になって、改めて文章を書いてみたくなった。20年以上経ってからの思い付きに過ぎないが、思い入れのあるゲームだけに、一度は文章としてまとめておきたかったという事。
 ただ、当時書いた文章と、言いたい事の根本は変わっていないと、これを書いてから思い直していた。

 そして、これを書くためにパズルトピアを再プレイしての事。

 このゲーム、プレイした人なら誰もが味わうと思うが、かなりのパズル好きでないとクリアできないような、本格的で高い難易度のパズルが多く、私も解けたものは数本だけ。
 それが今回は、インターネット上にある回答サイトのおかげで、全パズルのクリアが実現できた。

『芦ヶ原伸之のパズルトピア』解答集

 これを見ながらのプレイ中、あれだけ苦労していたパズルの数々が、いとも簡単にクリアして遊園地が色づいていくのは、思い出が一つ一つ削られていくようで、少し寂しさも覚えていた。
 そんな色々な思いをしたが、ある意味、自分が長年の夢が叶うという、何とも嬉しいものを味わった。


 また、パズルトピアについての記事をもう一つ。

パズルトピアの音楽について

 今まで疑問に思っていた事をちょっと調べてみた。




posted by 司隆 at 19:05 | Comment(0) | Game
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