2011年03月17日

漆原友紀「水域」

 最近読んだマンガについて。

水域(上) (アフタヌーンKC) [コミック] / 漆原 友紀 (著); 講談社 (刊)水域(下) (アフタヌーンKC) [コミック] / 漆原 友紀 (著); 講談社 (刊)

水域(漆原友紀 著/講談社)

 蟲師の作者である漆原友紀の新作で、上下巻で完結のストーリー。
 私も蟲師はずっと読み続けていたファンの一人だったので。

 主人公は中学生の普通の女の子。夏休みのクラブ活動中、突然不思議な現象に出会う。しかも何度も。
 あれは何だったのか?と思いながら、それを母親や祖母に話すと、母親は何かを思い出し、自分の過去に何かがあった事を見せる。
 と共に、祖母も過去を回想し、少女時代からの人生が延々と思い出として描かれる。

 女の子の不思議な現象、母親の過去、祖母の人生。3つの伏線が描かれていくが、これらが物語の途中から一つに繋がっていく。

「普通」に引き込まれる

 私はこのマンガ、月刊アフタヌーンで連載開始された時に第一話だけ読んだが、その時の感想は正直イマイチだった。
 蟲師のような雰囲気は感じたけど盛り上がりに欠けるなと思ったため。これから物語が進む事は分かっていたが、単行本が出た時にまとめ読みしようと、連載を追いかけるのはやめた。

 そして今回単行本で最後まで読んだ感想は、良かった。本当にいいマンガに出会えた気持ちだった。
 私が好きなのは、ゆっくりで普通にストーリーが進む所。

 不思議な現象や起こりつつも、物語は静かで淡々と進んでいく。特に主人公の祖母は、過去の回想という形でその人生が延々と描かれる。
 結婚して子供が生まれて育てていく、ただ一つの事を省いて、普通の人の普通の人生。物語の謎が見えた時や終盤で、それがどれだけ深いものだったかを見せ、それを感じたから感動できた。
 そして最後は、また普通の生活に戻る。

 この見せ方は蟲師でも多かったと思うが、一つのストーリーで長く語られている分深みを感じた。
 個人的には蟲師よりこちらの方が好きになるかも知れない。

普通である事の幸せ

 このマンガを読んだのは先月のだったが、感想を書きたくなったきっかけは、今大変な事になっている東日本大震災。

 私自身は今、普通に食事できて普通に生活できている。持病のために、食べられない事を味わっているから、食べられる幸せは知っている、…はずだったが、そんな事もいつの間にか忘れていた気がする。

 このマンガで、普通である事の幸せを改めて見たように思う。そして今、普通に生活ができる事ってどんなに重要かを感じている。
 そう思って今この感想を書いた。

 でも今、今回の事をTVやネットで見続けているが、情報があまりに多く、また先が見えなく、分からない事が多く、不安も多い。
 気分的にゲームや色々なものを楽しむ事が少なくなっている。私自身も早く普通に戻りたい。


 そして何より、被災された方達へ、一日も早く普通の生活に戻れる事を祈ります。


posted by 司隆 at 20:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | Book / Comic
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